盲亀福願の明け暮れ

鯖空間が第二の家

2/8 呪いの言葉と現実

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奨学金の書類を提出しに学生支援課へ行き、ついでにそこで仕事をしているクジラさんに会いに行った。クジラさんは、今回のストーカーの件で各教授、部署、相手の学生のご両親に迅速に連携してくださった方なので、近況報告をしようと思った。

まず、お世話になりましたとお礼を言い、現在は平和な学校生活を送れていることを伝えた。次にストーカーをしてくる学生が今度は自身のゼミの先生へつきまといをしている件を話した。

以下内容

クジラさん「なるほどねー。でもね、ストーカーをしてくる学生のゼミの先生だって仕事だから割り切れると思うよ」

亀「それでも、ターゲットを私から先生に変えてしまったようで申し訳なさがあるんです」

クジラさん「いや、むしろ学生の亀さんにストーカーされてることを愚痴って不安にさせてるのはダメだと思うよ。仕事なんだから」

亀「…そうなんですか」

クジラさん「あのね、私たちだって今回相手の学生の親御さんに連絡を入れて現状を説明した。もしかしたら親御さんから恨みを買って刺されるかもしれない。亀さんは逆恨みから危害を加えられるのが不安だと以前言っていたけれど、私たちは仕事だからそういう現場にも踏み込んで行かないといけないんだよ」

 

”仕事だから”という言葉に面倒ごとも対処しなければいけないという皮肉と、諦めを感じた。そして同時に、少し突き放されたような感覚にもなった。仕事だから教師や事務の方は学生の面倒を見ているということが呪いのように脳髄に染み込んでいった。

でも、逆に、仕事ならばとことん利用してやろうとも思えた。今回クジラさんに会いに来たのはストーカーの件だけではなかった。実は、クジラさんはいくつかのサークルの顧問の立ち位置に居るため、伝手で気になっていた写真部に入部しようと思って近づいた。勿論、自己アピールだって欠かさない。

亀「私は神社とかお寺に興味があって、そんな写真を撮るのが好きなんです」

クジラさん「へぇー!うちの学校は仏教でしょ?だから、お寺を題にしたコンクールとかあるんだよ。出す人が居ないんだけどね」

亀「そうなんですか!勿体ない。実は、わたし明後日から関西の寺へ行くので写真何枚か撮ってきます」

クジラさん「それはいいね!!撮ったらメールで送って」

と、埼玉の妻沼聖天へ行った話と、次は奈良の生駒聖天へ行く話に持って行った。帰宅後、『急に訪問したにも関わらず、お時間を割いてくださってありがとうございます』とか『今度、同じ学科の友人も写真部へ伺いたいと言っておりました』とメールを打って、ついでに妻沼へ行った際の写真も添付しておいた。

すぐに返信を返してくださったので関心はあるのだと思いたい。クジラさんから認められるような、なんか見返せるような写真を撮りに行きたい。

 

大学から帰宅後は軽く食事を摂って、数日前からアポを取っていた母校へ訪問した。目的は3年間お世話になった恩師へ今年もバレンタインのチョコを渡し、大学生活がどうかを伝えるため。3年間何度も通った通学路を歩きながら、クジラさんに言われた”仕事だから”という言葉が引っかかって少しもやもやしていた。恩師にとっては、私も面倒なやつなのではないかとかエトセトラ…。

1年ぶりに会った恩師は変わっていなくて、職員室ではもの凄く歓迎された。自分で言うのもなんだけれど、3年間生徒会に入っていたので顔が広い。1番ピックアップしたかったストーカーの件を話し出すと横から生徒指導の先生まで食いついてきた。そこで少しだけ学生支援課の対応が機械的という愚痴を零させて頂くと、恩師が「あー、そんな部署もあったわ。何処の大学も支援課は対応悪いよ」と賛同してくださった。私がクソ生意気な感性を持っているワガママ女じゃない救いの言葉を頂けたような気がした。3,40分時間を頂いて最後にカフェエリアで「好きな飲み物選んで」と言われたので、柑橘類が好きな私はオレンジジュースをお願いした。玄関まで送ってくださって、「また来て。あと手紙、いつも楽しみしてるよ」と言われちょっとウルっと来た。

だからさ、クジラさんっ!恩師を見習って、仕事ですから感をちょっとは隠して!!!!

飲むのが勿体ない(嬉しい)