盲亀福願の明け暮れ

鯖空間が第二の家

6/26 丑三つ時の夢

6/26

どこまでも緑が続いている原っぱに巨大な廃病院があった。暗くて、窓には格子がついているから精神病院だろうか。近づいてみると、その横に井戸があるのが分かった。身を乗り出して下を覗くと、そこには何人もの亡者が居た。みんな土気色の顔をしており、上に居る私に気づくとめいめいに助けを求めてきた。

夢の中ではいつも真横に、天まで届く凧がついてくる。その存在にはずっと前から気づいていたけれど、まだ紐を引く時じゃないと見えないフリをしていた。ただ今回は下から叫んでくる亡者が怖くなり、凧の紐を一気に引っ張った。

何が起こるのかは分かっていた。雲の合間から聖天様が降りて来て、井戸の中の亡者を一斉に引き上げた。死を嫌っている歓喜天を信仰しながら、自殺未遂をした私はその目を見ることができなかった。最後の亡者が雲の隙間へ吸い込まれていくのを見送り、傍に立つ聖天様に「ありがとうございます。それから死ぬことばかり考えて申し訳ありません」と頭を下げた。

聖天様は輝く凧の紐を渡して、「まあまあ、何かあったらいつでも呼びなさい」と言って笑う。

 

目が覚めると夜中の3時。ようやく丑の刻が終わった。